一汁三菜

自分が楽しいと思うこと、マラソン、旅行、その他日々の記録をしたい。

読了: ドリアン助川「あん」

先日観に行った映画「あん」の原作となっている小説を読んだ。映画だと割と明るい面を押し出しているという印象があった一方、原作は人物の内面や細かい事情も描かれている分、やや暗めのテイストを感じます。

とはいえ、そういう作品です。登場人物それぞれが抱える痛みがあります。救われる痛みというわけではないですし、現に作中でも痛みから救われるといったことはありません。自分の視点であらゆる物を「観る」ことに意味を見出すことが唯一の救いではあります。

どうしても先に映画を観ているせいか映画との比較で読んでしまうのですが、最後の徳江さんの手紙の部分とそれに続くエピローグは、原作の方が好きだなと感じます。映画の方は何だかエンディングの余韻に乗せて一気に流してしまっている感があります。